(前号から続く)
~ 高校生に向けたメッセージ ~
1 私たちにできること
これまでに発生した高校生の交通事故は、その大半が自転車乗車中でした。そして、皆さんと同じ高校生の命が、いくつも、交通事故によって失われています。
失われた命が帰ってくることはありません。その事故をなかったことにすることもできません。
私たちができること、それは、交通事故を防ぎ続けることであり、そのための少しの努力を惜しんではならないということです。
そして、ヘルメットを着用することとは、その第一歩です。
2 失われるもの
失われるのはあなたの命だけではありません。あなたのご両親は、悲しみと絶望の淵に立たされ、積み重ねてきた家族の幸せを失います。あなたの成長を見守るという、最も大切な幸せを失います。
ご両親は、あなたを失った悲しみを忘れることなどできません。ご両親ご自身の命が尽きるときまで、あなたを失った悲しみと向き合い続けていくのです。
3 名前のない命
交通事故によって失われた命には名前がありますが、安全運転によって守られた命に名前はありません。失われて初めてそれは現実となり、名前のあるひとつの命が失われるのです。
それが誰なのかわからない、名もなき命を守ること、そして、自分の人生を失わないための少しの努力を忘れないこと。
それが、私たちの目指す交通安全の姿です
4 新しい安全意識
さあ、皆さん、ヘルメットをかぶって街に出よう!
新しい安全意識を身に付けた自転車利用者として、歩行者を守る運転をしよう、自動車に気を配ろう。
ヘルメットをかぶった皆さんが、自転車利用者としての安全行動を通じて、譲り合い、支え合う新しい安全な交通環境を提案するのです。
5 未来の交通環境
未来の、新しい交通環境を創り上げるのは、現在の大人たちではありません。
皆さんは免許証を取り、新しいドライバーとして、人と自転車を優先する安全運転を習慣としてください。
そうして、これまで過去のどの時代にも実現することのできなかった、交通事故のない、本当に安全な交通環境を創り上げていく、皆さんはそんな役割を担っているのです。
6 守るべきもの
私たちは、皆さんと共に交通事故を防ぎ続けることを通じて、自分の人生を守り、誰かの命を守り、新しい交通環境を創る。それは、まだ生まれていない、未来の命を守ることなのです。