運転を哲学する男 小林眞のコラム 13 安全運転管理の目的

会社・事業所が事故ゼロを目指す理由について質問すると、返ってくる答えは次の3つです。

1 自動車関連企業だから

2 会社の名誉・看板のため

3 費用・コスト

それぞれが本心であり、それぞれが大切であることは理解できますが、こうした短絡的な理由付けを行うことによって、事故防止活動、安全運転管理活動は窮屈な気の重い仕事になっています。

交通事故防止活動の理由を費用・コストだとする会社・事業所(担当者)は少なくありませんが、コスト削減活動だと位置付けてしまうことで、その重要性が見失われているように思います。

 

管理車両の車内が職場であること、しかも、上司のいない職場そのものであることは前に説明しました。

安全運転を行い、続けることのできる社員とは、様々な仕事の場面において、上司がいなくても、常に適正・公正な業務活動ができるはずです。つまり、交通事故防止活動とは、信頼できる社員を育てることと同じ方向を示しています。

そして、社員を事故の当事者にしないことを通じて、社員は仕事に専念し、それによって本人は処遇が向上し、充実した人生を過ごすことができます。そして会社は、その実績が向上し、組織として進化・発展を遂げることができるのです。

すなわち、安全運転管理とは、誰にも共通する安全管理の基本、社員教育の基本であり、それは組織管理・人事管理・業務管理の中心に位置する管理の基本だということです。

この理解が不足することによって、交通事故防止活動、安全運転管理とは、管理者、ドライバーの双方にとって気の重い、やらされ感の強い活動になってしまいます。

しかし、私たちが目指すべき交通事故防止活動、安全運転管理とは、社員の人生を充実させ、組織全体の進化・発展に寄与する重要な課題であり、その出発点であることを思えば、気の重い仕事であるはずはありません。もっと明るく前向きに、会社・事業所全体で取り組むべき価値のある大切な活動なのです。

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