運転を哲学する男 小林眞のコラム 7 安全運転の価値 その2

幸せとは、失われて気付く現実のこと。つまり、一人でも多くの人たちと共有しようとする交通安全の価値とは、今ここにある幸せという現実を失わないために私たちが培ってきた知恵のこと。

権利とは、わがままが許されることではない。それは、互いを尊重することによって認められるもののこと。そして義務とは、負担のことではない。それは、互いを守るために必要なもののこと。

私たちは生きていくために息を吸いますが、吸った息は吐かなければなりません。息を吸うことも息を吐くことも権利であり、義務なのです。つまり、権利とはわがままが許されることではなく、義務とは負担を強いられることではありません。

 

道路交通法を守ることが交通安全だ、違反しなければ安全運転なのだと考えるのは独りよがりの思い込みに過ぎないのです。

優先であることが権利なのではなく、ドライバーには常に事故を防ぐための義務があります。事故の過失割合が重要なのではありません。どちらが悪いのかではなく、ドライバーとして交通事故を避けるための安全運転を続けることこそが大切なことなのです。

 

交通安全の価値とは、高価なものでも希少なものではありませんが、そこに価値を見いだすことで心に変化が現れ、行動が変化していく。それが人として進化することであり、進化することによって自分の人生を豊かにし、自分や家族、そして誰かの人生を守ることができる。それを一人でも多くの人たちと共に実現していくことを通じて、私たちは新しい安全な交通環境を創造することができるのです。

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