運転を哲学する男 小林眞のコラム 36 自転車とヘルメット その2

(前号から続く)

子どもたちが良いドライバーに育つ環境を社会が創り、その結果として事故は半減し、死亡事故がゼロになる。そんな安全な交通環境を創る出発点が歩行者保護運転なんだという、その考え方に、私は共感しました。

高校生はすぐにドライバーになります。その高校生に対する本気の交通安全教育が自転車のヘルメットなのです。

法改正という背景はありますが、法が改正されたからではなく、自転車利用者として、ヘルメットを着用することで安全意識を高めることの必要性を考えています。ヘルメットは、そのための第一歩なのです。

それは、あなたが主張されたことと同じ考え方ではありませんか?」

……、そうだった。2014年、歩行者保護運転こそ最優先と主張し、横断歩行者妨害違反の検挙活動を推進したとき、私は確かにそう説明していた。

 

道路とは、人、自転車、自動車のすべてが同一平面を移動するため、同時に交差・交錯することによって衝突し、交通事故になる。

つまり、衝突(事故)を回避するためには、互いに譲り合うことが必要である。そして、譲り合うとは、それぞれが互いを尊重することであり、第一に自動車、第二には自転車利用者が安全のための役割(義務と責任)を正しく理解し、実践することが必要である。

自転車の利用に免許証は必要ない。免許証が不要であることで、自転車は自由であることが許されていると勘違いするが、そんなはずはない。自動車が歩行者と自転車を優先させるように、自転車利用者は歩行者を優先させ、自動車への配慮を忘れてはならない。

それなのに、過去、自転車利用者に対しては、「ルールを守ろう」という一般的な指導・教育・広報が繰り返されてきただけではなかったか。今こそ本気になって、すべての人たちが、自転車の安全走行についての理解を深め、自転車の事故を減らすための対策、そのための指導・教育の在り方について考え、それぞれの立場から取り組むべき時代を迎えているはずである。

 

私は、特に高校生に対する自転車の事故防止対策に参加する前提として、次の考え方を提案した。

(以下、次号に続く)

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