前回、一時停止場所とは、左右の安全を確認する場所ではないこと、一時停止場所とは、停止線の手前で確実に止まることによって出合頭の事故を半減させ、その被害の軽減化を図る場所であることをお話ししました。
さて、交通違反は多種多様ですが、最も検挙件数の多い違反類型とは、この「一時停止違反」です。違反件数の約23%がこの一時不停止であり、二番目の最高速度違反(15km/h未満から50km/h以上のすべてを含む)が約16%ですから、いかに多くのドライバーが一時停止違反で検挙されているかがわかります。
交通違反で検挙される1/4近くが一時不停止だという現実について、皆さんは何を思いますか? 私は違反に対する警察の説明不足を感じるのです。
一時停止場所で止まらなかったから違反、それは理解できますが、では、止まらなかったことで検挙されたドライバーは、それを反省して次から止まるドライバーになるでしょうか?
検挙されたドライバーは、次から検挙されないために止まるかもしれませんが、それは事故を防ぐ安全運転とは別物です。
一時停止場所の意味について、これまで警察官はきちんと伝えてきたのでしょうか。違反だから検挙するだけでは、検挙という警察活動の効果は限定的です。一時停止場所で止まらないことが何故違反とされているのか、それを守ることがどれほど大切なことなのか、違反者自身の将来の事故を防ぐためには、一時停止場所で、見えなくても一度止まることの必要性について、警察官は本気になって伝えてきたのかと、私は思うのです。
それをしてこなかったために、警察官の目の届かない場所で一時停止違反は繰り返され、その結果として出合頭の事故が発生しているのだと考えています。
伝えなかった警察官の気持ちも理解できます。違反ですと伝えると、「私は止まった」「他の車も全部検挙しろ」等々、不平・不満・言い訳の言葉ばかりが聞こえ、説明など聞く耳を持たず「サッサとやれ!」と言われれば、説明しようとする警察官の気持ちも萎えます。
でも、警察官がへこたれてはダメなのです。頑張りなさい。では、元警察官の私が代弁しよう。
「一時停止場所とは、左右の安全を確認する場所ではありません。左右が見えなくても、停止線の手前で一度、確実に止まることによって、事故を半減させる場所です。
停止線の手前で確実に止まることを習慣にすることで、この場所だけではなく、あなたの将来の事故を防ぐことができます。是非、止まる運転を習慣にして、安全運転を続けてください!」