運転を哲学する男 小林眞のコラム 10 安全運転が難しい組織的理由

安全運転とは、その大切さがわかっていてもなかなか実行できず、続けられないものですが、そこには個人的な理由だけではなく、組織的な理由も考えられます。

事業所の安全運転管理者の方から、いくつか率直な意見を聞かせていただきましたので、その答えとして、私も正直な思いを伝えました。

 

1 運転は個人の問題だから、組織、上司が関わるべきではない。

答 運転は車中の行為・行動ですから、個人の問題に思われるかもしれません。しかし、社員を事故から守ることによって、社員は仕事に専念することができます。その結果、仕事の成果が上がり、社員の処遇は改善され、会社は発展していくのですから、これは単なる個人の問題なのではなく、会社にとっても組織全体で取り組むべき重要な課題です。

 

2 交通事故は必ず発生する(不可避)だから仕方がない。

答 確かに、人は過失から免れることはできません。しかし、運転中の過失を事故に発展させないこと、被害の軽減化を図ることは可能であり、これが交通安全教育の目的です。

 

3 運転は本来業務ではない。

答 この考え方は間違っています。車内は職場です。しかも、上司のいない職場です。取引先に行って商談することだけが仕事なのではなく、そこへ行くまでの運転も本来の大切な業務であることを理解すべきです。

そして、上司不在の車内できちんと安全運転を続ける社員を育てることとは、いかなる場面においても的確・適正な対応のできる、安心して仕事を任せることのできる社員を育てることにつながります。

つまり、取引先までの運転、それは会社にとっても大切、重要な本来業務であり、車内は事務所と同じ大切な職場なのです。

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