運転を哲学する男 小林眞のコラム 21 一時停止 1/2

「一時停止場所とは何をする場所ですか?」と質問すると、当然のように「左右の安全を確認する場所」という答が返ってきますが、「それは違います!」

一時停止場所は、左右の安全を確認する場所ではありません。その考え違いが、出合頭事故の背景・要因になっています。

出合頭の事故とは、交差点における左右の安全不確認が原因ですが、それは過失、ウッカリです。人は、その過失を減らすことは可能ですが、過失をゼロにすることはできません。人の過失をゼロにしようとする安全対策は少なくありませんが、その対策が成功したことはありません。人の過失をゼロにすることは不可能だからです。

私たちにできることは、①その過失を減らすこと、②その過失によって発生する事故を減らすこと、③被害の軽減化を図ることです。

 

一時停止場所とは、左右の安全を確認する場所ではありません。そもそも、一時停止線が左右の見通せない場所、その手前で止まっても建物や塀によって左右の視界が遮られ、何も見えない場所に引かれていることも少なくありません。

多くのドライバーは、内心で「こんな所に線を引いて止まったって、何も見えないじゃないか」と不満を呟きながら見える場所まで進もうとして、その瞬間に左右から来た自転車・歩行者と衝突します。これが出合頭の事故の現実です。

一時停止場所とは、左右が見通せる手前の場所で、一度、速度をゼロにすることによって、

① その後の左右の確認を確実にする

② ドライバーからは見えなくても、左右からの自転車・歩行   者に車が来ていることを確認させ、徐行・停止させる

③ 停止線でゼロからスタートすることによって衝突速度を下   げる

など、出合頭の事故を半減させ、その被害の軽減化を図る場所なのです。

一時停止場所とは、左右の安全を確認する場所ではなく、一度確実に停止することによって、出合頭の事故を半減させる場所であることを正しく理解してください。

(次号に続く)

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